OBS Studioの音声フィルタ8種類について、役割と使い分けを解説します。マイクの環境は人によって異なるため、数値をそのままコピーするのではなく、ヘッドホンで確認しながら少しずつ調整することが大切です。
OBSの音声フィルタとは
音声フィルタは、マイクやデスクトップ音声など、音声ソースごとに音量やノイズを調整する機能です。追加したフィルタは一覧の上から順番に処理されるため、同じ設定でも並び順によって結果が変わります。
音声フィルタを追加する方法
- OBSの「音声ミキサー」で、設定したい音声の縦3点ボタンまたは歯車をクリックします。
- 「フィルタ」を選びます。
- 画面左下の「+」をクリックします。
- 追加するフィルタを選び、分かりやすい名前を付けます。
- 右側に表示された項目を調整します。
目のアイコンでフィルタを一時的に有効・無効にできます。効果を比較するときに便利です。上下の矢印またはドラッグ操作で処理順も変更できます。
設定した音をモニターする
- 「音声ミキサー」のメニューから「オーディオの詳細プロパティ」を開きます。
- 確認する音声の「音声モニタリング」を設定します。
- スピーカーではなくヘッドホンで音を確認します。
| 設定 | 動作 |
|---|---|
| モニターオフ | 自分には聞こえません。通常の配信出力には送られます。 |
| モニターのみ(出力はミュート) | 自分だけが確認し、通常の配信出力には送りません。 |
| モニターと出力 | 自分で確認しながら、配信・録画にも送ります。 |
スピーカーでモニターすると、マイクが音を拾ってハウリングやエコーの原因になります。また、別の機器や配信ソフトでも同じマイクを取り込むと二重音声になるため注意してください。
8種類の音声フィルタ
ゲイン
音声全体を一定量だけ大きく、または小さくします。0.00dBでは変化せず、プラスで増幅、マイナスで減衰します。
大幅な増幅はノイズも一緒に大きくします。まずマイク本体やオーディオインターフェースの入力ゲイン、マイクとの距離を調整し、OBSのゲインは微調整に使うのがおすすめです。
ノイズ抑制
PCファンや空調などの軽い環境ノイズ、ホワイトノイズを抑えます。標準ではRNNoiseとSpeexが利用でき、環境によってはNVIDIA Broadcast SDKを導入するとNVIDIA Noise Removalも選べます。
- RNNoise:高品質ですが、SpeexよりCPU負荷が高めです。
- Speex:抑制レベルを調整できます。強くしすぎると声が不自然になります。
- NVIDIA Noise Removal:対応GPUと別途SDKが必要です。
大きな話し声やテレビ音などを完全に消す機能ではありません。ノイズ源からマイクを離す、口元へ近づけるといった環境改善を先に行ってください。
エキスパンダー
しきい値より小さい音をさらに小さくします。無音時のPCファン、キーボード音、呼吸音などを自然に目立たなくする用途に向いています。ノイズゲートより開閉が滑らかです。
最初は「Expander」プリセットを使い、話し始めや語尾が途切れない範囲でしきい値を調整します。公式ガイドでは、ほかの圧縮処理の後、リミッターの前に置く構成が案内されています。
ノイズゲート
音量が「閉鎖しきい値」を下回るとマイクを閉じ、「開放しきい値」を超えるとマイクを開きます。話していない間をはっきり無音にしたい場合に使います。
開放しきい値は閉鎖しきい値より大きく設定します。設定が強すぎると小さな声や語尾が切れるため、自然さを優先する場合はエキスパンダーも試してください。
コンプレッサー
しきい値を超えた大きな音を圧縮し、声量差を小さくします。突然大声を出したときのクリッピングを起こりにくくし、聞きやすい音量へ整えます。
- 比率:しきい値を超えた音をどの程度圧縮するか
- しきい値:圧縮を開始する音量
- アタック:圧縮が効くまでの速さ
- リリース:圧縮が戻るまでの速さ
- 出力ゲイン:圧縮後の音量補正
デスクトップ音声へコンプレッサーを追加し、「サイドチェーン/ダッキングソース」にマイクを指定すると、話している間だけゲーム音やBGMを下げることもできます。
リミッター
設定したしきい値を音量が超えないように抑え、0dBを超えたクリッピングや音割れを防ぎます。フィルタ一覧の最後に置きます。
最初は標準値の-6dB付近から確認できます。ただし、すでに録音段階で音割れしている音はリミッターでは直せないため、入力ゲインも下げてください。
極性を反転
音声波形の極性を反転します。同じ音を複数のマイクで収録したときなどに発生する位相打ち消しを補正する用途があります。通常のマイク1本だけで問題がない場合は追加する必要はありません。
VST 2.xプラグイン
外部のVST 2.xエフェクトをOBSで利用します。イコライザーなど標準フィルタにない処理を追加できます。
OBSが標準対応するのはVST 2.xです。VST 3.x、MIDI制御、シェル形式のVSTには対応していません。プラグインによってはOBSが不安定になったりCPU負荷が高くなったりするため、設定をバックアップしてから試してください。
マイク用フィルタの順番例
- ノイズ抑制
- コンプレッサー
- エキスパンダーまたはノイズゲート
- 必要な場合だけゲイン
- リミッター
これは開始点の一例です。ノイズゲートとエキスパンダーは両方を強く使わず、まずどちらか一方で調整してください。各フィルタを1つずつ有効にし、短いテスト録画で声の自然さと音量を確認すると失敗しにくくなります。
うまく調整できないとき
- 声が小さい:マイクとの距離と入力ゲインを先に調整する
- 声がこもる:ノイズ抑制を弱める
- 語尾が切れる:エキスパンダー/ゲートのしきい値を下げる
- 音量が不自然に上下する:コンプレッサーの比率を下げ、リリースを見直す
- 音が割れる:OBSより前の入力ゲインを下げる
- 音が二重になる:モニタリング、デスクトップ音声、別アプリの取り込みを確認する
まとめ
まずマイクの位置と入力ゲインを整え、必要なフィルタだけを追加しましょう。マイク音声では、ノイズ抑制、コンプレッサー、エキスパンダー、リミッターの順から試すと整理しやすくなります。設定後は必ずテスト録画を聞き、声が途切れたり不自然になったりしていないか確認してください。
